遠藤印刷 代表の遠藤です。工学系大学院の機械工学専攻で修士課程を修了後、大手ゼネコンでの施工管理経験を活かした徹底的な品質・工程と工数管理を強みとしています。運営に必要だと感じ、3年前に日商簿記2級を取得しました。
 組織として創業55年の現場力を活かし、お客様の印刷業務における効率化とコスト最適化の支援に日々邁進しております。

 本記事は、新書サイズで本を作りたい方に向けて、判型の基本、見積が変わる要因、配送費まで見据えた設計の考え方を整理するものです。仕様決定の順番が分かると、印刷外注の失敗を減らし販売後の収支まで見通しやすくなります。

新書判の基本寸法

 新書判は、一般に縦18cm前後、横11cm前後の細長い判型を指します。
新書判を106×173mmが一般的です。
新書サイズは完全に一つへ固定された寸法ではなく、近い範囲で運用されることがあります
(出典:出版科学研究所, 年不明)。
 印刷の現場では、103×182mmのような寸法も新書判として扱われます。
発注時に「新書で」とだけ伝えると、想定と仕上がりがずれることがあります。
名称ではなく、最終的な仕上がり寸法をmmで指定すると認識の差がなくなります。(出典:出版科学研究所,shuppankagaku.com)

単行本との違いを先に整理する

 初めて本を作る方が混同しやすいのが、新書判と単行本の違いです。
単行本は内容に応じて四六判127×188mm、B6判128×182mm、A5判148×210mmなど複数の判型が使われます。一方、新書判はそれらより細く、持ちやすく、棚での見え方も変わります(出典:出版科学研究所 shuppankagaku.com)

初めての発注で起きやすい失敗

サイズを最後に決めてしまう失敗

 よくある失敗は、本文を書き終えてから「最後にサイズを決めればよい」と考えることです。
A5で組んだ原稿を後から新書判へ縮めると、文字が詰まり余白が窮屈になることで、ページ数も変わりやすくなります。
 見積の再計算、表紙幅の再設計、配送方法の見直しまで連鎖します。結果として、判断回数が増え、作業工数も増えます。

対策:用途を先に伝える重要性

 用途を先に伝えることは、意思決定コストを下げます。
販売用なのか、記念配布なのか、少部数のテスト販売なのかで、適切なサイズ、紙、製本、配送方法等がかわるからです。
 目的が先に共有することで、印刷会社は候補を絞りやすくなり仕様比較の手戻りも減ります。これらは段取りの問題ではなく、見積と検討時間の両方に効果を発揮します。

新書を作るときは仕上がりサイズから逆算する

なぜ逆算が失敗を減らすのか

新書を制作する際に、仕上がりサイズから逆算する方法が失敗の発生を下げます。
先に完成寸法を決めれば、本文の組み方、表紙、背幅、用紙、ページ数の整合が取りやすくなるからです。最終寸法から設計する。これが初回発注では特に有効です。

こちらに制作物一覧もございます。

販路まで決めると配送費の設計がしやすい

 販売を想定するなら、印刷前に配送条件まで見るべきです。日本郵便のクリックポストは長辺34cm以内、短辺25cm以内、厚さ3cm以内、重量1kg以内で全国一律185円です。
 ゆうメールも長辺34cm以内、短辺25cm以内、厚さ3cm以内、重量1kg以内で利用でき、重量別で190円から380円です。(クリックポスト – 日本郵便)。
このため、A5サイズか新書サイズか、ページ数がどこまで増えるかで、重量と厚さの見込みが変わります。弊社では、販路を先に決めて仕様を詰めることで配送費を10%前後圧縮できたケースがあります。配送料の上昇が利益を圧迫しやすい今、印刷と発送を別工程で考えない設計が重要です。

見積が変わる6つの要因

色数 モノクロ・カラー
 本文がモノクロか、表紙だけカラーか、本文の一部もカラーかで単価は変わります。色数は見積差が出やすい代表項目です。

ページ数
 ページ数は本文用紙の使用量、背幅、製本工程に影響します。少しの増減でも総額が変わることがあります。

用紙
 本文と表紙の紙種、厚さ、質感で価格も重量も変わります。販売や郵送を考えるなら、見た目と重さの両方で判断が必要です。

製本
 無線綴じか中綴じかで対応ページ数や仕上がりの印象が変わります。新書のような本文量がある冊子では無線綴じが主です。

部数
 部数は単価だけでなく、在庫リスクにも関わります。初版を抑えて反応を見る設計も有効です。

納期
 短納期は対応可否だけでなく、工程の自由度も狭めます。見積比較では金額だけでなく、校正回数や再調整余地も予定に含めると安全に進めることができます。

外注先に最初に伝えるべき項目

項目 最初に伝える内容 理由
用途 販売用、配布用、記念誌など 仕様の方向性が変わるため
仕上がりサイズ 例:106×173mm、103×182mm 「新書」だけでは曖昧なため
予定ページ数 本文のおおよその総ページ 背幅、製本、見積に影響するため
色数 表紙カラー、本文モノクロなど 価格差が出やすいため
用紙の希望 白め、落ち着いた紙、軽めなど 見た目と重量に関わるため
製本 無線綴じ希望など 冊子の構造が変わるため
部数 初版予定部数 単価と在庫計画に直結するため
納期 希望納品日、発売日 工程設計の基準になるため
販路 郵送、手売り、書店委託など 配送費と梱包条件が変わるため
入稿形態 Word、PDF、Illustratorなど 前工程の工数が変わるため

まとめ

 新書づくりで重要なのは、仕上がりサイズから逆算して、販売と配送まで含めて設計することです。そこが決まると、見積もりの精度が上がり、手戻りも減ります。
 千代田区飯田橋で、仕様整理から相談できる外注先をお探しならご相談ください!

FAQ

Q1. 新書サイズは何mmですか

一般的には106×173mm前後です。ただし、103×182mmなど近い寸法も使われます。レーベル差があるため、mm指定で伝えるのが安全です。

出典:出版科学研究所
Q2. 単行本と新書は同じですか

同じではありません。単行本は四六判、B6判、A5判など幅広く、新書はより細長い判型です。

出典:出版科学研究所
Q3. 販売するなら配送方法まで先に決めるべきですか

はい。サイズ、厚さ、重量で使える配送手段と送料が変わるためです。クリックポストやゆうメールにはサイズと重量の条件があります。

出典:日本郵便(2026年時点)
Q4. 見積に最低限必要な情報は何ですか

以下の5点を教えていただければ、スムーズに概算をお出しできます。

  • 仕上がりサイズ
  • 予定ページ数
  • 部数
  • 色数(モノクロ・カラーなど)
  • 希望納期
Q5. Wordしかなくても相談できますか

可能です。最終データの作り方や追加工程の有無は外注先によって異なります。不明な点は、入稿前に確認するのが安全です。

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この記事を書いた人

代表取締役 遠藤豊明

新卒で大手ゼネコンに入社し、トンネル工事の施工管理を中心に建設プロジェクトに携わる。
工程・品質・安全管理や関係各所との調整業務を通じて、現場での進行管理を経験。
 その後、大手印刷会社にてITインフラ部門に所属し、社内IT基盤の運用・管理や業務システムの安定稼働を支える業務、拠点拡張プロジェクトに従事。
 営業活動を通じてお客様の課題解決を提案したいと思い、不動産賃貸仲介業務に勤務し、法人・個人双方の顧客対応や契約業務を通じて、現場目線での課題解決や調整業務に従事した後、有限会社遠藤印刷へ入社。