遠藤印刷 代表の遠藤です。工学系大学院の機械工学専攻で修士課程を修了後、大手ゼネコンでの施工管理経験を活かした徹底的な品質・工程と工数管理を強みとしています。運営に必要だと感じ、3年前に日商簿記2級を取得しました。
組織として創業55年の現場力を活かし、お客様の印刷業務における効率化とコスト最適化の支援に日々邁進しております。
本記事は、フォルダ整理が続かない原因を「整理不足」ではなく「命名の迷い」と捉えて、実務で分かりやすいフォルダ名と運用ルールを解説します。探す時間を減らし、データ整理で無駄になる時間を削減します。
紙が必要になる基準とは?
「フォルダ整理をしたい」と考える方は多いですが、本来は必要なデータに迷わずに最短でたどり着くことです。
MicrosoftのWork Trend Indexでは、31,000人・31市場を対象とした調査基盤のもと、62%が仕事中の情報探索に時間を割いていると報告があります。
つまり、探す時間は個人の性格の問題ではなく、業務構造の問題として扱うべきです点です。(出典:Microsoft Work Trend Index, 2025/2023)。 (Microsoft)
実務では、この「探す時間」が静かに利益を削ります。見積書、校正PDF、再版データ、納品指示、請求関連の資料が人によって保存先も名前の付け方も違う。
1件ごとのロスは小さく見えても、1日、1週間、1か月× 社員数 で積み上がります。
フォルダ整理とは、片付け術ではなく、検索コストを減らす設計なのです。
たとえば、再版データの探索時間を次のように考えると分かりやすいです。
再版データ探索時間のイメージ
導入前 約60秒 ██████████
導入後 約30秒 █████
体感として約60%の削減が出ていても、案件によっては1分が30秒になる程度かもしれません。それでも十分に意味があります。なぜなら、短縮されるのは作業時間だけではなく、「あれ、どこにあったっけ?」という認知的なストレスだからです。
ここで重要なのは、フォルダ名を「保存した人の感覚」で決めないことです。
公的な記録管理のガイダンスでも、フォルダ名は主要な機能や活動に対応し、解釈しやすく、固有であるべきだとされています。国立情報学研究所のRDMkit-jpでも、フォルダ構造はプロジェクトの設計やワークフローに対応し、分かりやすく、重複しない名前をつけることが示されています。つまり、フォルダ名とは感覚ではなく、業務の流れを写すラベルです(出典:NARA、NII RDMkit-jp)。 (National Archives)
この視点に立つと、良いフォルダ名の条件ははっきりします。
「誰が」「どの順番で」「どこを見るか」を想像することです。
たとえば、同じ案件でも、ある人は取引先名で探し、別の人は年度で探し、別の人は製品名で探します。
ここで毎回軸が変わると、フォルダは必ず迷路になります。
逆を返せば、第一階層は業務軸、第二階層は年度、第三階層は案件名、というように探す順番を固定すると、フォルダは地図になります。
実務で崩れにくい階層は「3段」
フォルダ階層は、深ければ丁寧というわけではありません。NARAのガイダンスでは、フォルダ階層は8レベルを超えないことが示されています。一方で、日本の実務解説では、共有フォルダは3階層程度が扱いやすいとされ、NTT東日本でも3階層での整理例が示されています。制度上の上限と、日常運用の扱いやすさは分けて考えるべきで、現場運用としては3階層前後が最も崩れにくい設計です(出典:NARA、NTT東日本)。 (National Archives)
私がおすすめする基本形は、次の3段です。
| 階層 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| 第一階層 | 業務の大分類を置きます。 | 01_営業、02_製造、03_総務、04_経理 |
| 第二階層 | 年度、顧客、案件群のうち、最も先に探す軸を1つだけ置きます。 | 2026、神保町学会案件、定期案件 |
| 第三階層 | フェーズや文書種別を置きます。 | 01_見積、02_校正、03_納品、04_請求、05_再版 |
大事なのは、1つの階層に複数の考え方を混ぜないことです。
「2026_神楽坂案件_見積関係_急ぎ」のように、年度、場所、案件、状態を1フォルダ名に詰め込むと、次の人が同じルールで作れません。階層の役割を固定した方が、結果として探しやすくなります。
フォルダ名は「説明」ではなく「検索インデックス」
ここがこの記事の核です。フォルダ名は、内容を完璧に説明するために付けるのではありません。探す順番を固定するために付けます。
たとえば、神楽坂・神保町・九段下の案件資料を管理するとします。このとき、
「地域別に見ることが多い」のか、
「年度別に見ることが多い」のか、
「顧客別に見ることが多い」のか。
最初にここを決めるだけで、迷いは大きく減ります。 おすすめは、「最初に見る軸」を先頭に置くことです。印刷や制作の実務なら、年度や案件で探すことが多いので、次のような形が使いやすいです。
| 対象 | ルール | 例 |
|---|---|---|
| 第一階層 | 業務分類を固定する | 01_営業 |
| 第二階層 | 年度か案件群を置く | 2026 |
| 第三階層 | 顧客名や案件名を置く | 神保町_学会抄録 |
| ファイル名 | 日付_件名_状態_v番号 | 20260415_見積書_初版_v01.xlsx |
この発想は、公的ガイダンスとも合致します。
NARAは、ファイル名は記述的で、一貫していて意味が分かることを要求条件として提示しています。
日付や版数などの構成要素を入れるなら、その位置を毎回同じにすべきだとしています。
NTT東日本も、日付表記、種類、つなぎ記号、版数の統一を挙げています(出典:NARA、NTT東日本)。 (National Archives)
すぐ使える命名ルール
実務でそのまま使える最低限のルールを示します。
- 日付は YYYYMMDD で統一する
NARAのブログでも国際標準の日付表記が推奨されています。年から始めると並び順が崩れません。 - 記号は「_」か「-」のどちらかに統一する
半角・全角、ハイフンと長音記号が混ざると検索性が落ちます。厳格運用なら、使う記号を1種類に決めた方が安全です。 - 版数は v01、v02 のようにゼロ埋めする
1、2、10 のような表記だと並び順が崩れます。先頭ゼロは地味ですが効きます。 - あいまいな名前を禁止する
「最新版」「修正後」「確認用」「とりあえず」は禁止です。今日の最新版は、来月には最新版ではありません。名前は状態ではなく内容で付けるべきです。NARAも、名前は一貫し、意味が分かるものであることを求めています。 - 長すぎる名前を避ける
NARAのブログでは25〜35文字程度の目安が示され、別ガイダンスではファイルパス全体を255文字以内に収める要件が示されています。日本語実務では厳密に同じ長さに合わせる必要はありませんが、一覧で途中切れしない長さを意識するのが実務的です。
運用を定着させる方法
次のように考えると判断しやすいです
ルールは作るだけでは機能しません。定着させるには、最初から完璧を狙わないことです。
おすすめは次の進め方です。
- まずは新規案件だけに適用する
過去データを全部直そうとすると止まります。今日以降の新規案件だけで十分です。 - 保存場所に迷う資料は「一時保管」箱を作る
ただし、週1回整理する前提にします。放置するとゴミ箱になります。 - 月1回ではなく週1回、15分だけ見直す
短い頻度の方が修正コストは小さく済みます。 - フォルダとサブフォルダに同じ名前を付けない
NIIも重複名を避けるように助言しています。
これは地味ですが、検索時の視認性を大きく左右します(出典:NII RDMkit-jp)。 (RDMkit)
【注意点】
フォルダ名のルールだけで、すべてのデータ整理が解決するわけではありません。NIIも、フォルダ構造だけでなく、命名規則、バージョニング、文書化を一体で整える必要があると示しています。つまり、フォルダ名だけを整えても、版管理や保存基準が曖昧なら、結局また迷います(出典:NII RDMkit-jp)。 (RDMkit)
また、検索機能が強い環境でも、命名ルールは不要になりません。検索が強いほど、逆に「何と入力すれば出るか」という共通語彙が必要になるからです。フォルダ名とファイル名は、検索窓に入れるキーワードの辞書でもあります。
まとめ
フォルダ整理の本質は、片付けではありません。
「探さなくて済む状態」をつくることです。
そのために必要なのは、細かく分けることではなく、次の3つです。
- 階層ごとの役割を固定する
- ファイル名の形式を統一する
フォルダ名は単なる名前ではありません。業務の流れを短くする設計です。
まずは1つの部署、1つの共有フォルダだけで構いません。
「30秒で見つかる状態」を基準に、今日から命名ルールを作ってみてください。
完璧でなくて大丈夫です。迷わず見つかる仕組みは、小さく始めた方が続きます。
私は、データ整理は事務作業ではなく、見えないムダを削る経営改善だと考えています。
探す時間が減るだけで、現場負担が大きく改善されます。
フォルダ名のルールは重要になってきます。
弊社では、お客様の大切なデータを3年間保管しております。
データ管理もお任せください。
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