遠藤印刷 代表の遠藤です。工学系大学院の機械工学専攻で修士課程を修了後、大手ゼネコンでの施工管理経験を活かした徹底的な品質・工程と工数管理を強みとしています。運営に必要だと感じ、3年前に日商簿記2級を取得しました。
 組織として創業55年の現場力を活かし、お客様の印刷業務における効率化とコスト最適化の支援に日々邁進しております。

 本記事は、資料印刷に不慣れな発注者の方へ向けて、総会や学会、法人資料に合う製本方法を用途別に整理するものです。
製本は見た目ではなく「配布後にどう使われるか」で決めると失敗しにくい、という点にあります。

製本方法は「きれいに見えるか」ではなく「配布後にどう使われるか」で決める

 資料の製本方法で迷うと、多くの方は「中綴じの方が安そう」「無線綴じの方が立派そう」と見た目や価格から考え始めます。
しかし、発注で本当に失敗する原因は価格ではありません。
原因は、資料が使われる場面を先に決めずに製本方法を選んでしまうことです。JAGAT(ジャガット)でも、並製本の代表例として中綴じ、平綴じ、無線綴じが挙げられており、綴じ方によって企画やレイアウト段階の配慮が変わるとされています。(jagat.or.jp)
製本は最後の見た目ではなく、最初の選定条件といえます。

当日に配布・読んで終わる資料は簡潔な綴じ方(中綴じ)が向きます。
反対に、保管して後から参照する資料は、背表紙があり耐久性の高い製本が向きます(無線綴じ)。
この軸で見ると、総会資料、会議資料、学会資料の選び方はかなり整理しやすくなります。中綴じはページ数が少ない冊子向きで開きやすく、無線綴じはページ数の多い冊子に適し、背表紙を設計できるのが特徴です。
※無線とじ冊子と中綴じ冊子については下記の記事をご参照ください。

主要な製本方法 3種類の用途別比較

 初めに資料印刷で押さえたいポイントは、すべての製本方法を覚えることではありません。実務でよく比較されるのは、ホチキス留め、中綴じ、無線綴じの3つです。

製本方法ごとの違い

用途や仕上がりに応じて選びやすいように、代表的な製本方法を比較表にまとめました。

製本方法 向く用途 強み 注意点
ホチキス留め 会議配布資料、当日用の簡易資料 早い、簡潔、少ページ向き 冊子感は弱い、長期保管には不向き
中綴じ プログラム、小冊子、少ページの配布冊子 開きやすい、比較的低コスト 4の倍数ページが前提
無線綴じ 総会資料、報告書、要旨集、保管資料 背表紙ができる、しっかりした印象 中綴じより工程が増える
迷ったときは、当日配布中心ならホチキス留めや中綴じ、保管や閲覧を前提とする資料なら無線綴じ、という考え方で整理すると判断しやすくなります。

発注前に確認したい5つのポイント

製本方法で迷ったときは、次の5点を決めると判断が早くなります。

  1. その場で読む資料か、保管する資料か?
  2. 総ページ数は何ページか?
  3. 部数は何部か?
  4. 差し替え(印刷の内容が変更になること)が起こる可能性があるか?
  5. 背表紙が必要か?

 この5つのうち、特に重要な判断軸は「保管するかどうか」と「ページ数」です。背表紙が必要なら無線綴じが基本になりますし、4の倍数で薄い冊子なら中綴じが現実的です。
ページ数が少ない会議資料ならホチキス留めの方が、納期やコストの面で合う場合もあります。
ご相談内容から最適なご提案をいたします。

なぜ「自社で印刷できるか」だけで判断すると危ないのか

 近年はオフィスプリンターの性能が上がり、資料印刷そのものは一般の方にも身近になりました。
しかし、「印刷できること」と「業務として無理なく回せること」は別です。
たとえば100ページの資料を100部、両面印刷で用意する場合、必要な紙は5,000枚です。これは単純計算で出せます。

100枚÷2(両面印刷)×100部=5,000枚

ここで、メーカー公表値の一例を当てはめると、複合機で両面印刷が毎分 20 枚なら印刷だけで250分、約4.2時間かかります。 (Canon(Japan))
その他メーカですと、A3対応機で両面印刷が毎分 12 枚の例では、約417分、約6.9時間です。しかもこれは、紙補給、トナー交換、紙詰まり確認、部単位の仕分け、ホチキス留め、最終確認の時間を含んでいません
つまり、内製の見えないコストは「印刷費」ではなく「担当者の時間」へ負担が肩代わりされています。

社内出力にかかる時間の目安

100ページの資料を100部、両面印刷した場合の出力時間イメージです。

計算式
100ページ × 100部 ÷ 2ページ(両面)= 5,000枚
20枚/分のプリンター
約250分 約4時間10分
5,000枚 ÷ 20枚/分 = 250分
12枚/分のプリンター
約417分 約6時間57分
5,000枚 ÷ 12枚/分 = 約417分
上記は印刷速度のみで計算した目安です。実際には、紙の補給、トナー交換、紙詰まり対応、仕分け作業などの時間も別途かかります。

まとめ

 総会資料や法人資料、学会資料の製本方法は、立派に見えるかどうかで決めるものではありません。配布後にどう使われるか、何年か残す印刷物か、何ページあるかで決まります
見方を変えると、製本は印刷の仕上げではなく、資料運用の設計そのものです。
 迷ったら、用途、ページ数、部数、納期、保管年数の5点を書き出して印刷会社へ伝えてください。そこまで整理できれば、提案の精度は一気に上がります。印刷発注は、詳しい方がいい仕事をするわけではありません。使用用途を先に決めた方が、失敗しにくい仕事です。私は、資料印刷でいちばん大事なのは、紙に何を刷るかより、その資料が現場でどう扱われるかだと考えております。
下記、無料相談よりお気軽にお問合せください。

※記事に対する個別のお問合せはご遠慮ください。

FAQ

よくある質問

総会資料・法人資料・学会資料の製本方法について、発注前によくある疑問を収納式で整理しました。

総会資料には、どの製本方法が向いていますか
総会資料は、当日読むだけでなく、後から議事や決算内容を確認することが多いため、議案書や事業報告、決算関連資料まで含む場合は無線綴じが向きやすいです。背表紙ができ、保管や整理がしやすいからです。いっぽう、当日の進行表や補足資料のような短い資料は、ホチキス留めや中綴じの方が実務に合うことがあります。
会議資料や研修資料は、ホチキス留めと無線綴じのどちらがよいですか
10ページ前後の会議資料や当日配布の簡易資料であれば、ホチキス留めで十分なケースが多いです。反対に、研修テキストやマニュアルのように、社内で保管したり何度も使ったりする資料は、無線綴じの方が向いています。判断のポイントは、読み終わった後に残す資料かどうかです。
学会資料は中綴じと無線綴じのどちらを選べばよいですか
短いプログラムや案内冊子であれば中綴じでも対応しやすいです。一方で、抄録集や要旨集のように本文量が多く、保管して見返す前提がある資料は無線綴じが向いています。学会資料は「その場で配る資料」であると同時に「後で残す資料」でもあるため、ページ数と保管性の両方で判断することが重要です。
中綴じはどんな資料でも使えますか
使えるわけではありません。中綴じは4の倍数ページが前提になるため、ページ数によっては向かない場合があります。また、ページ数が増えると冊子の厚みや仕上がりの面で無線綴じの方が適することもあります。少ページの配布冊子やプログラム向けと考えると整理しやすいです。
資料印刷を外注する前に、何を決めておけばよいですか
最低限、次の5点を整理しておくと相談しやすくなります。

・その場で読む資料か、保管する資料か
・総ページ数
・部数
・差し替えの可能性
・背表紙の必要性

この5点が決まっていると、印刷会社から用途に合った製本方法を提案してもらいやすくなります。
迷ったときは、用途、ページ数、部数、納期、保管の有無を先に整理して相談すると、製本方法の判断がしやすくなります。

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※本記事の情報を利用したことにより生じた損害(直接・間接を問わず)について、当方は一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。

この記事を書いた人

代表取締役 遠藤豊明

新卒で大手ゼネコンに入社し、トンネル工事の施工管理を中心に建設プロジェクトに携わる。
工程・品質・安全管理や関係各所との調整業務を通じて、現場での進行管理を経験。
 その後、大手印刷会社にてITインフラ部門に所属し、社内IT基盤の運用・管理や業務システムの安定稼働を支える業務、拠点拡張プロジェクトに従事。
 営業活動を通じてお客様の課題解決を提案したいと思い、不動産賃貸仲介業務に勤務し、法人・個人双方の顧客対応や契約業務を通じて、現場目線での課題解決や調整業務に従事した後、有限会社遠藤印刷へ入社。