遠藤印刷 代表の遠藤です。工学系大学院の機械工学専攻で修士課程を修了後、大手ゼネコンでの施工管理経験を活かした徹底的な品質・工程と工数管理を強みとしています。運営に必要だと感じ、3年前に日商簿記2級を取得しました。
 組織として創業55年の現場力を活かし、お客様の印刷業務における効率化とコスト最適化の支援に日々邁進しております。

 本記事は、翌日朝一に印刷物を納品してほしい発注者様の悩みを、単なる短納期論ではなく「受け取り設計」で解決する記事です。ホテル直送、会場搬入、分納の考え方まで整理し、移動の負担と納品不安を同時に減らします。
必要な部数が、必要な場所へ、必要な時間までに、確実に届く状態をつくることです。
 ここを違えると、印刷会社に急ぎで頼んだのに、自分だけが最後まで重い荷物を持って移動することになります。逆にここを押さえると、翌日朝一の納品はかなり現実的になります。

なぜ「翌日朝一納品」は難しく感じるのか

 理由は単純です。朝の納品は、印刷より物流のほうが詰まりやすいからです。

国土交通省の紙・パルプ物流に関する資料では、午前納品が多く朝に集中し、朝一番でも待機が発生することがあること、さらに前日の夕方注文で翌日午前中指定のような短いリードタイムは時間外労働を招きやすいことが示されています。
つまり、翌日朝一納品の難しさは、印刷機の回転数よりも、受け取り側を含めたサプライチェーン全体の混雑にあります。
 短納期対応を掲げる印刷会社でも、同日出荷の条件を「午前11時までの注文、支払い、入稿、かつデータに問題がないこと」としている例があります。

発注者様の面倒ごとは「印刷」ではなく「持ち運ばない準備」です

 経験談より、セミナーや打ち合わせで出張が多い方が、東京から印刷物50冊、約5kgを自分で持って移動する場面を考えてみてください。
キャリーケースに加えて、別の荷物として印刷物を持つだけで、駅移動、チェックイン、会場入りの負担は一気に増えます。
 しかも国内線では、ANAもJALも機内持ち込み手荷物の合計重量を10kg以内と案内しています。印刷物5kgは、その半分を占めます。つまり、印刷物を自分で持つ設計は、物理的にも心理的にもかなり重いのです。 (ANA)

だからこそ、翌日朝一納品の本当の価値は「急ぎ対応」ではありません。
発注者様が運ばなくていい状態をつくることにあります。

翌日朝一納品を成功させるための段取り

先に決めるべきは印刷仕様ではなく受け取り場所

 最初に決めるべきは、どこに納品するかです。候補は主に3つです。

  1. 宿泊先ホテル
  2. 当日の会場
  3. 自社や支社などの中継地点

 この中で、出張者の負担を最も減らしやすいのはホテル直送です。前夜のうちにフロントで受け取れる状態をつくることで、当日は必要分だけ持って会場へ向かえます。
全部を会場朝着が不安な場合に有効な対処方法です。

ホテル納品は「どう書くか」で失敗を減らせます。

 ホテル宛に荷物を送ることは珍しくありません。
スーパーホテルの案内では、ホテル宛発送時に宿泊者名、チェックイン日、分かれば予約番号の記載を求めています。
別ホテルでは宿泊者名がない荷物は受け取りを拒否し、着払い、冷蔵、冷凍品も拒否するとしています。
東横INNの案内でも、送り状に宿泊予定日、予約時の氏名、電話番号の記載を求めています。ホテル直送は便利ですが、「ホテル名だけ書けば届く」は危険です。 (スーパーホテル)

・宿泊者名

・宿泊場所の住所

・ご自身の携帯番号 ・予約番号(わかる範囲で)

会場搬入は「受け取ってもらえるか」を確認します

 会場搬入は万能ではありません。会場によっては事前預かりをしない場合があります。東京国際フォーラムは、主催者向けFAQで「事前に荷物を預かることはできない」と明記しています。
 パシフィコ横浜も、イベント会場への宅配便の送付条件は各主催者に確認するよう案内しています。つまり、会場搬入は会場名だけで判断せず、主催者、会場、搬入窓口の3点確認が必要です。 (T-I Forum)

「全部を一回で届ける」より分納のほうが強い理由

短納期ほど、一括納品より分納のほうが事故に強いです。
例としてホテルに10部、当日会場へ200部という分け方なら、前日に内容確認用の見本を持てます。もし会場側で受け取りに想定外の条件が出ても、手元確認用の部数は確保できます。翌日朝一納品を成功させる発想は、最速一本勝負ではなく、確認用と本番用を分けることです。

印刷会社へ依頼時に必要なのは「営業マンへの判断材料」です

 印刷会社が最短可否を判断するために必要なのは、気合いではありません。次の情報です。

項目 先に伝える内容
納品日 翌日午前、前日夕方、会場開始何時までか
納品先 ホテル名、会場名、住所、受取部署
宛名情報 宿泊者名、チェックイン日、予約番号、電話番号
部数 総部数、分納の有無
仕様 サイズ、ページ数、カラー、製本方法
データ 完成PDFの有無、最終締め予定日
優先順位 絶対必要な最低部数と、後着でもよい部数

この情報が最初から揃っていれば、可否判断は早くなります。
逆に、ここが曖昧だと段取りが決まらず確認の時間ばかり消費します。

※下記の記事もご参照ください。

※プリンターの印刷位置は機種ごとに異なます。試し刷りをして微調整をおこなってください。

「朝一」と言っても、8時ぴったりとは限りません

ここは誤解が多い点です。
 ヤマト運輸は、午前中指定を8時から12時と案内し、時間帯より細かな指定はできないとしています。
 日本郵便もゆうパックの配達時間帯目安として午前中を設けています。佐川急便も午前中を8時から12時としています。つまり「朝一納品」と言っても、実務上は多くの場合「午前中のどこか」です。8時ちょうどを前提に組むのは危険です。 (ヤマト運輸 FAQ)
そのため、本当に朝から必要な案件は、会場当日朝着より、ホテル前日着や会場前日搬入のほうが安全です。翌日朝一に見える成功の多くは、実は前日に受け取りを終えている設計です。

遠方から来る方ほど、ホテル納品の効果が増加

飯田橋、神保町、九段下、秋葉原、新宿のように宿泊施設と会場が点在するエリアでは、ホテル納品との相性が良い場面があります。印刷物を自分で抱えて移動する時間と体力を減らせれば、その分だけ打ち合わせやセミナー準備に集中できます。
発注者様の本業を守る設計です。発注者様にとって大事なのは、印刷会社を探すことではなく、本番を事故なく終わらせることです。
だからこそ、翌日朝一納品の相談では、印刷物そのものより、誰が受け取るか、どこで確認するか、何部を先に確保するか、ここまで伴走できる業者なのかが重要です

まとめ

翌日朝一の納品で失敗しにくい順番は、次の通りです。

  1. 受け取り場所を決める
  2. ホテルや会場の受取条件を確認する
  3. 分納の要否を決める
  4. 完成データを用意する
  5. 仕様ではなく判断材料をまとめて相談する

翌日朝一納品とは、印刷を急ぐことではありません。
自分が運ばない仕組みを、前日にどこまで作れるかです。

 遠藤印刷でも、ホテル納品や会場搬入、分納のご相談を承っています。
ホテルに10部、当日会場へ200部といった分け方もご対応しております。
ご対応が難しい場合もありますが、そのときは無理に受けるのではなく、代替案まで含めてご案内するほうが誠実だと考えています。
 発注担当者の負担を減らすことは、印刷会社の仕事の一部です。
印刷物をきれいに作るだけではなく、当日の移動まで軽くする。
 そこまでできて初めて、短納期対応には意味があると私は考えています。
遠藤印刷では、ホテル納品や会場搬入、分納のご相談も承っております。
条件が複雑な場合も、判断材料を整理したうえでご案内いたします。分納の場合、金額が3万円以上にて送料無料になります。
まずは、お問い合わせフォームからご相談ください。

FAQ

よくある質問

Q1. 朝一納品とは、8時ぴったりの意味ですか
質問 朝一納品とは、8時ぴったりの意味ですか
回答 弊社便でご指定のお時間にお伺いいたします。
運送業者ごとに時間帯が異なります。ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の案内では、午前中はおおむね8時から12時の時間帯で、細かな時刻指定ができない場合があります。朝一必須なら、前日受け取りの設計が安全です。 出典表記:ヤマト運輸 FAQ ほか
Q2. ホテルに印刷物を送るとき、何を書けばよいですか
質問 ホテルに印刷物を送るとき、何を書けばよいですか
回答 少なくとも宿泊者名、チェックイン日、分かれば予約番号は入れたほうが安全です。ホテルによって条件が異なる場合がありますので、必ずご確認ください。
Q3. 会場搬入なら、どの会場でも前日預かりしてもらえますか
質問 会場搬入なら、どの会場でも前日預かりしてもらえますか
回答 できるとは限りません。東京国際フォーラムは事前預かり不可の案内があり、パシフィコ横浜も条件は主催者確認としています。会場名だけで判断せず、主催者と搬入窓口へ確認してください。 出典表記:東京国際フォーラム案内 ほか

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この記事を書いた人

代表取締役 遠藤豊明

新卒で大手ゼネコンに入社し、トンネル工事の施工管理を中心に建設プロジェクトに携わる。
工程・品質・安全管理や関係各所との調整業務を通じて、現場での進行管理を経験。
 その後、大手印刷会社にてITインフラ部門に所属し、社内IT基盤の運用・管理や業務システムの安定稼働を支える業務、拠点拡張プロジェクトに従事。
 営業活動を通じてお客様の課題解決を提案したいと思い、不動産賃貸仲介業務に勤務し、法人・個人双方の顧客対応や契約業務を通じて、現場目線での課題解決や調整業務に従事した後、有限会社遠藤印刷へ入社。