遠藤印刷 代表の遠藤です。工学系大学院の機械工学専攻で修士課程を修了後、大手ゼネコンでの施工管理経験を活かした徹底的な品質・工程と工数管理を強みとしています。運営に必要だと感じ、3年前に日商簿記2級を取得しました。
 組織として創業55年の現場力を活かし、お客様の印刷業務における効率化とコスト最適化の支援に日々邁進しております。

 本記事は、初心者に多い失敗であるスライドに文字を詰め込みすぎることを避ける思考法を解説します。これは「忘れたくない」「内容を全部書きたい」という不安から起きます。
実際に伝えるのはスライドではなくあなたの言葉です。スライドはあくまでも補助なので、紙芝居のようにシンプルに組み立てるほど聞き手に伝わります。

研究発表の準備|最初に確認すべき3つ

 当日、発表する対象者やレベル(一般の方or研究者or企業担当者)を意識するだけでスライドの内容が決まります。

事前に決めること 確認ポイント 決まる/変わること
発表時間と配分 ・発表は何分か
・質疑込みか
・時間管理が厳しいか
・スライド枚数の上限
・厚く説明する章(結論/結果など)
・削る章(背景や方法の詳細など)
会場の投影環境(スライド比率) ・16:9か4:3か(指定の有無)
・当日見切れがないか
・スライド比率の選択
・余白・配置・文字サイズの最適化
・見切れ対策(端に寄せない等)
聴衆のレベル ・同分野向けか
・異分野向けか
・専門用語の説明量
・背景説明の厚み
・図解の増減(直感的説明の必要性)

研究発表スライドの基本ルール

迷ったら、まずこのルールで作成してください。

研究発表スライドの基本ルール

ルール ねらい(なぜ必要か) 実践ポイント
1スライド1メッセージ 1枚で言いたいことを1つに絞るほど、聞き手の理解が速くなります。 情報を足すより削る。言えない場合は分割する。
1スライド1分を目安 話が長いと聞き手が追えず、要点がぼやけます。 1枚を短く刻む設計にし、長くなる内容は複数枚に分ける。
色は3色まで 色数を絞ると統一感が出て、強調点が伝わります。 基調色・強調色・文字色に限定。基本は黒文字、強調だけ色。
文章は使いすぎない 長文は読ませる時間が発生し、説明が頭に入りにくくなります。 「結論:○○」のように短く。詳細は口頭で補う。
余白をしっかり取る 端に寄せるほど見切れやすく、読みづらくなります。 余白はデザインではなく読みやすさ。端から距離を取って配置する。

 一つでも当てはまっていると当日の発表中に焦ってしまうことあります。
事前にスライドの調整をしましょう。

研究発表のスライド構成テンプレ|基本の型

研究発表は、次の順が基本の型です。

研究発表スライド構成の型(目的→結論→結果・考察→方法)

要素 何を伝えるか 作り方のコツ
1 目的 何のための研究か(課題・問い・狙い)。 背景は長くしすぎず、「何を解決したいか」を一文で言える形にします。
2 結論 その結果どうなったか(最も重要な結論)。 結論は最初に提示し、聞き手の理解の軸を作ります。数字や比較があると強いです。
3 結果・考察 どんなデータが得られ、どう解釈するか。 図表中心で示し、条件・単位・比較対象を明記します。考察は「なぜそうなるか」を短く。
4 方法・手法 どうやって研究したか(再現に必要な要点)。 詳細は予備スライドへ。本文では「理解に必要な最小限」に絞ります。

 背景や細かい方法を最初に置くと、スライドが増えて要点がぼやけます。最初に結論を置くと、聞き手の理解が早くなり、その後の説明が通りやすくなります。

スライド並びの例(そのまま使える)

スライド構成で相手への伝わり方に違いを生みます。

研究発表スライド構成(テンプレ)

スライド 役割(何を伝えるか) 作り方のコツ
1 タイトル(研究名、氏名、所属) 発表の基本情報を提示し、聞き手の準備を整えます。 研究名は短く。所属・氏名は読みやすいサイズで。
2 背景(問題設定) なぜその研究が必要か(課題・現状)を共有します。 長くしない。課題を1〜2文で言える形に絞ります。
3 目的(問い、仮説) 研究で何を明らかにするか(問い/仮説)を明示します。 「本研究の目的は○○」で言い切るとブレません。
4 結論(最重要の1枚) 最も伝えたい結論を先に示します。 数字・比較・条件を添えると強い。文章は短く。
5 結果(図表中心で複数枚) 結論を支えるデータを示します。 図表中心。軸・単位・条件・比較対象を必ず明記します。
6 考察(理由、限界、条件) 結果の意味を解釈し、限界や成立条件を整理します。 「なぜそうなるか」を短く。限界は誠実に1枚で。
7 方法(要点のみ。詳細は予備へ) どうやって研究したか(理解に必要な要点)を説明します。 要点だけに絞り、詳細条件や式は予備スライドへ回します。
8 まとめ(結論の再提示、今後の課題) 結論をもう一度整理し、次の展開を示します。 結論は箇条書き3点以内。今後の課題は具体的に。
9 質疑 質問を受けるための区切りを作ります。 ページ番号を入れておくと「○ページの図」で会話が速くなります。
10 予備スライド(追加データ、条件、式、補足) 想定質問に備え、根拠をすぐ示せるようにします。 質問されやすい論点(条件、n数、式、追加比較)を先回りして用意します。

先生の好みもありますので、その点は先輩に聞いて調整してください。

パワーポイントの基本設定|見やすさを作る土台

スライドサイズ(16:9と4:3)

 会場や提出先の指定に合わせます。指定がない場合は、当日投影で見切れがないか確認し、違和感があれば比率を見直します。会場の状況が確認できない場合は無難な4:3で作成することをオススメします。

フォント(読みやすさ優先)

・日本語:指定があれば準拠
・英数字:timesnewroman
フォント種類は増やさず、太字やサイズで強弱をつける方が安全です。 フォントサイズ(小さすぎると伝わりません)

迷ったら大きく

迷ったらすべてのサイズを大きくします
・タイトルは大きく
・本文は後ろの席を想定して十分なサイズに(28P以上)
・注釈を乱用しない(注釈が必要ならスライド分割を検討)

ページ番号を入れる 例:n/17

質疑で「○ページの図.●●」と指定しやすくなり、会話がスムーズに議論が捗ります。

図や表の作り方|研究発表で差が出るポイント

図のサイズは最初に決めます。

 図を作ってから縮小すると文字が潰れる可能性が高いためです。
スライド上の使用面積を先に決め、そこに合わせて作ります。
これは時間が無くなってくる発表日前に効果を発揮します。修正に追われずに発表練習に時間を費やせます。

凡例よりタグ(直書きラベル)

凡例は目線移動が増えて理解が遅れます。線や棒の近くに「この線は○○」と直接ラベルを入れると伝わりやすいです。

図表に必ず入れる 学会の作法


PDF確認は、印刷前の最終検品ポイントを一箇所に集約できるのが利点です。
 削減できるのは時間・紙だけではありません。
急ぎの場面ほど「もう1回だけ印刷」が積み上がり、時間と集中力を大いに削ります。
損失回避の点からも、確認手順を固定化のすると合理的です。

図表に必ず入れる項目(チェック表)

No. 項目 入れる理由(伝わるポイント) 記載例/チェック観点
1 軸ラベル(何を示すか) 何の値かが不明だと、図の解釈ができません。 縦軸・横軸ともに「何の指標か」を明記する。
2 単位 同じ数字でも単位が違うと意味が変わります。 ms、mm、%、回、件などを軸や表に付ける。
3 条件(対象、期間、n数など) 条件がないと再現性や妥当性の判断ができません。 対象、測定期間、サンプル数(n)を図下や注記で示す。
4 比較対象(何と比べたか) 比較が明確だと、差の意味が伝わりやすくなります。 従来法、ベースライン、対照群など「比較相手」を明記する。
5 重要な数値(差、変化、割合など) 結論に直結する数値が見えると、理解が一気に速くなります。 最大差、増減幅、改善率などを図中ラベルで直接示す。
6 注記:削減率は文書の複雑さで変わる 効果や成果の数字を誤解されないために、成立条件を示します。 「文書の複雑さ/環境により削減率は変動」と但し書きを添える。

見やすく伝わる校正|誤字脱字より先に直すべきこと

 研究発表の校正は、誤字脱字だけではありません。伝わる校正は次の4つです。

用語の統一

 同じ意味の言葉が混在すると、聞き手が迷います。表記を揃えます。

数字と単位の整合

 数字と単位の整合 桁区切り、単位表記、小数点の桁を揃えます。研究発表の信用に直結します

体裁の統一

 見出し位置、箇条書きのインデント、図の配置、余白の取り方を揃えると、一気にプロっぽく見えます。

【最重要】1枚1メッセージの再点検 

「この1枚で何を言うか」が言えないスライドは、分割か削除が必要です。
1枚に複数の内容を詰め込むと聞き手が話を錯覚してしまうことがあります。
1スライド・1メッセージ・1分」 を目安に準備しましょう。

練習のコツ

 発表練習と当日対策|スライドは作って終わりではありません。

発表の改善ポイント(表)