印刷業務の負担は、作業量ではなく「不確実性」で増える

 印刷の発注は手を動かす量が多いから大変なのではありません。
大変さの正体は判断が連続することです。
仕上りサイズから紙・色、部数、納期、入稿データ、校正まで。これらの中には専門外の判断が混ざります。
皆様の多くは印刷業務以外の本業をお持ちの方だと思います。
そういった本業で多忙を極める合間に、
「失敗できない状況で、関係者の手戻りを出さずに、期限までに印刷物を成立させる」
ことを実行されています。
 ここで重要なのは「手戻りを出さない」です。印刷は刷ってから気づくと、修正が難しくなります。だから印刷会社の担当者は慎重になり、確認が増えメール往復が増えます。結果として、本業の時間が削られます。
この判断が多い業務であることは、公的性格のあるガイドラインが「発注者向けチェックリスト」として論点として取り上げている点からも裏づけられます。
発注者が自ら仕様を検討し、印刷事業者と円滑にコミュニケーションするためのチェックリストだと明記されています。(gpn.jp)

工数は「発注作業」ではなく「不確実性の処理コスト」で膨らむ

 工数を減らすには担当者が抱える不確実性を、外注先との共同作業で先に潰すことが重要です。
ここで言う外注先は、単に印刷する先ではなく仕様の整理まで担えるパートナー印刷会社のことです。

印刷における「提案」は、判断を減らす設計です。

 「提案」と聞くと、何か新しい商品を勧める行為に見えるかもしれません。
印刷業務の「提案」は、もっと実務的です。担当者の判断回数を減らすための設計です。
下記に提案の中身は、主に次の4つに分解できます。

1. 仕様の収集と整理(要件定義)

 目的、配布方法、期限、部数、予算の上限、社内の承認フロー。ここを最初に集め、仕様として言語化します。チェックリストの論点を先に表へ落とすイメージです。(gpn.jp)

2. 属人化の可視化(誰の頭の中にあるかを明示)

 「いつもこの人が分かっている」を、仕様書や進行表に移します。担当者が替わっても回る状態にします。

3. 不要な印刷物の削減提案(印刷部数と印刷物の棚卸し)

 必要な印刷部数と、目的に対して不要な印刷物を分けます。これはコスト削減だけでなく、確認・校正・在庫管理の手間を減らす提案です。

4. 進行管理の代行(締切と確認ポイントの設計)

「誰がいつまでに何を確認するか」を工程に落とし、メール往復の回数を最小化します。

なぜ今、工数削減が効くのか:中小企業の現実が示す背景

 中小企業では、効率化が重要課題でありながら、人材面の制約が強いことがデータで示されています。
 中小企業のDX調査(2024年)では、具体的な取組として「文書の電子化・ペーパレス化」が57.6%で最多です。一方で、DXの課題として「ITに関わる人材が足りない」25.4%、「DX推進に関わる人材が足りない」24.8%が上位に来ています。また、DXで成果が出ている(成果が出ている+ある程度成果が出ている)企業は81.6%です。

中小企業のDX実態(%)
DX成果あり
81.6
文書の電子化等
57.6
課題 IT人材不足
25.4
課題 DX人材不足
24.8
DX成果あり
文書の電子化等
課題 IT人材不足
課題 DX人材不足
出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」

これより、現場は効率化したいが専門人材は足りない。印刷のような周辺業務は「外注先の使い方」で工数を落とす余地が大きいのです。

事例:メール往復で疲弊した担当者が「仕様まとめ」まで外注して楽になった

 印刷の発注では、確認事項を多く要求され担当者が都度調べ、社内確認、外注先業者へ返信する流れになりがちです。入稿データの不備があれば差し戻しになり、再入稿が必要になります。たとえば塗り足し不足は、印刷工程へ進めず差し戻す可能性がある、と明記する入稿案内もあります。
 そこで、紹介を受けた遠藤印刷が、情報収集、仕様整理、まとめ(発注者が確認できる表など)まで作成し、属人化していた点をお客様へ明示しました。
 さらに、必要な印刷部数と不要な印刷物を提案し、部数の最適化・印刷物の棚卸しにより印刷費20%を削減・削減による業務量の改善に繋がりました。
この事例の価値は、印刷が上手くいったこと以上に、担当者の「判断コスト」を外注先と分担できた点にあります。印刷の外注先が、チェックリストの論点を前倒しで扱い、仕様を文章に落とし、関係者の合意を取りやすくする。これが工数削減に直結します。
また、削減分をお客様のターゲット層へDMの発送し、攻める印刷をご提案および実施いたしました。

今日から使える「発注の型」:最初の1通で工数が決まる

 担当者様が作るのは、完璧な仕様書ではありません。
判断の材料を、外注先が拾える形で渡すだけで十分に効果が発揮されます。

最初の連絡に入れる7点

No.項目何を書くか(例)未確定でも書ける形
1目的提出、配布、掲示、社内共有など「配布用」「提出用」など一言でも可
2必達納期イベント日、提出期限、先方指定の動かせない日付「◯月◯日午前必着」など
3部数確定部数、または幅(例:300〜350部)「未確定:◯〜◯部」
4体裁サイズ(A4等)、ページ数の目安(例:12〜16P)「A4予定」「P数未確定」
5データ状況完成/未完成、作成ソフト(Word/PowerPoint/InDesign等)「未完成:◯日までに揃う予定」
6校正体制確認者、校正回数の上限(例:2回まで)「上限2回」「社内確認1名」
7納品条件納品先住所、分納の有無、梱包単位希望「1か所納品」「分納あり(◯か所)」

この7点があると、外注先はチェックリストの論点に沿って不足情報を回収しやすくなります。

千代田区飯田橋で外注先を持つ実務メリット

 距離の近さは、利便性だけではありません。判断が速くなります。

・仕様が曖昧な段階で相談できる
・現物見本や用紙感を確認しながら決められる
・突発の修正や納期調整の意思決定が速い

「迷い」が減ると、心理的負荷が減り本業へのパフォーマンス向上が見込めます。
これが、作業工数削減の現実解です。

Q&A よくあるご質問

Q. 工数が増える最大の原因は何ですか
A. 発注作業そのものではなく、仕様の未確定と入稿不備などによる差し戻しです。塗り足し不足などは差し戻し理由になり得ると明記されています。(ddsp.jp)

Q. 不要な印刷物の提案とは、具体的に何をしますか
A. 配布対象と利用目的から、必要部数の根拠を作り、紙で持つべきものとデジタルで足りるものを分けることです。結果として印刷コストだけでなく、校正・在庫・配布の作業も減ります。

Q. 仕様が固まっていなくても相談できますか
A. 可能です。目的と納期が決まった段階で相談すると外注業者もスケジュール確認も早まります。

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この記事を書いた人

代表取締役 遠藤豊明

新卒で大手ゼネコンに入社し、トンネル工事の施工管理を中心に建設プロジェクトに携わる。
工程・品質・安全管理や関係各所との調整業務を通じて、現場での進行管理を経験。
 その後、大手印刷会社にてITインフラ部門に所属し、社内IT基盤の運用・管理や業務システムの安定稼働を支える業務、拠点拡張プロジェクトに従事。
 営業活動を通じてお客様の課題解決を提案したいと思い、不動産賃貸仲介業務に勤務し、法人・個人双方の顧客対応や契約業務を通じて、現場目線での課題解決や調整業務に従事した後、有限会社遠藤印刷へ入社。