なぜPDFなのに文字が崩れるのか

 PDFは完成データだから安全と思い、外注先に渡したにもかかわらず、文字化けや行ズレが起きることは印刷現場では珍しくないことです。
多くの場合、PDFの保存問題ではなく、PDF内部に含まれるフォントの扱い方の場合が多くを占めます。
 正確には、フォントが正しく埋め込まれていないPDFです。
 印刷業務に不慣れな方にとってはフォントとは普段意識する対象ではありません。画面上で正しく表示されていれば問題ないと考えるのがごく自然です。
印刷ではその前提では通用しない場合があります。
ここに、お客様と印刷会社の認識ギャップが生じています。

「印刷会社の営業がなぜそんなに校正の確認を要求するのか?」
「印刷会社から、フォントデータがないと仕事を受けれないと言われた。」

などの、煩わしいと感じてしまう場面が発生します。
 検索していただいた方の目的は、フォントの知識を深めることではありません。
本当に片付けたい用事は一つです。「余計な差し戻しや確認作業をなくし、業務を止めずに済ませたい。」です。
 印刷トラブルの本質は、ミスそのものではなく、その後に発生するやり直し・調整・外注先との確認作業と指示作業の往復問題です。
埋め込みフォントの確認は、それらを未然に防ぐための必要な作業です。

PDFとフォントの関係を理解する

 PDFは、見た目を固定するための形式です。ただし、文字の扱いには二通りあります。

1 フォント情報をPDF内に含める
2 開く側の環境にあるフォントを参照する

印刷で安全なのは前者です。これが埋め込みフォントです。
 埋め込みがされていない場合、印刷会社の環境に同じフォントがなければ、別のフォントに自動で置き換えられます。その結果、文字幅が変わり、行や段組が崩れます。
これは不具合ではなく、PDFの仕様通りの動作です。

埋め込みフォントを確認する具体的な方法

 最も確実で、誰でも再現できる方法は、PDFのプロパティを確認することです。
PDFを開き、ファイルのプロパティからフォントの一覧を表示します。
step.1 「ctrl+D」 :プロパティを開く
step.2 タブ/フォント を押下

画像は埋め込みがない状態です。一方、埋め込み済だと表記がありません。

初めての発注でよくある誤解

 ここで、発注者側に多い誤解を整理します。

・画面で見えているから問題ない
・印刷会社が直してくれる
・今まで大丈夫だったから今回も平気

 これらは、偶然トラブルが起きなかっただけです。印刷会社で修正できる場合もありますが、基本は追加作業となり追加料金が発生する場合が多いです。
 結果として、納期調整、費用増加、対応不可といった判断につながることがあります。
確認を省くことは、作業工数削減ではなく、作業工数の先送りです。
ネット印刷会社では、自社の確認工数をお客様へお願いすることで安価な価格帯を提示していることが多いです。入稿後の印刷物の内容に関しての責任を分解しています。

なぜ発注者側で確認すべきなのか

 埋め込みフォントの確認は、専門作業ではありません。
数分で終わる単純なチェックです。
これを外注先任せにすると、次の問題が起きます。

・問題が起きてからでないと発覚しない
・修正可否の判断に時間がかかる
・結果として発注者に差し戻される
・データ修正費用が余計に発生する
・再見積りになり、余計な時間が発生する

 私の経験上、お客様の仕事が確認によって止まってしまいます。
確認することは、責任を負うことではありません。業務を止めないための判断材料を持つことです。
印刷外注を楽にする判断はすべてを自分でやる必要はありません。
その際の線引きは明確です。

・発注者がやるべきこと
PDFの埋め込みフォントを確認する

・外注先に任せること
修正、再書き出し、印刷向けにデータを最適化

この分業ができるだけで、外注時のストレスは大きく減ります。

千代田区飯田橋という立地が意味するもの

 千代田区飯田橋周辺は、大学、学会、法人が集中するエリアです。
印刷物は用途が明確で、締切が厳しい案件が多くなります。
そのため、PDFに不備がある前提での対応力が外注先には求められます。
よく他県の印刷会社さんの支店が千代田区にある理由の多くはここにあります。
 遠藤印刷では、埋め込みフォントが未対応のPDFはもちろんのこと、多くの校正案件を扱ってきました。
 発注者が最低限の確認を行い、印刷会社が専門対応を行う。
この役割分担こそが、作業工数削減につながります。

まとめ

 PDFの埋め込みフォント確認は、印刷の専門知識ではありません。
業務を止めないための確認作業です。数分の確認で、防げるトラブルは多くあります。
それでも不安がある場合は、最初から相談できる外注先を選ぶことが、印刷発注が初めての方には結果的に最短ルートになる場合が多いです。
 遠藤印刷では、PDFの状態確認から印刷可否判断までを一括で対応しています。
本業に集中にしたい方は、一度ご相談ください。
お問合せ先:https://eqp.jp/consultation/

Q&A よくあるご質問

Q1 フォントをアウトライン化すれば問題はありませんか
A 有効ですが、再編集できなくなる点に注意が必要です。

Q2 無料フォントでも埋め込みは必要ですか
A 必要です。フォントの価格や種別は関係ありません。

Q3 Office系ソフトからのPDFは安全ですか
A 設定次第です。必ず埋め込み状態を確認してください。

Q4 印刷会社で確認してもらえますか
A 可能です。校正時に確認いたします。

Q5 自分で確認できない場合はどうすればいいですか
A ご入稿時にこちらで確認作業を致します。ご安心ください。

この記事を書いた人

代表取締役 遠藤豊明

新卒で大手ゼネコンに入社し、トンネル工事の施工管理を中心に建設プロジェクトに携わる。
工程・品質・安全管理や関係各所との調整業務を通じて、現場での進行管理を経験。
 その後、大手印刷会社にてITインフラ部門に所属し、社内IT基盤の運用・管理や業務システムの安定稼働を支える業務、拠点拡張プロジェクトに従事。
 営業活動を通じてお客様の課題解決を提案したいと思い、不動産賃貸仲介業務に勤務し、法人・個人双方の顧客対応や契約業務を通じて、現場目線での課題解決や調整業務に従事した後、有限会社遠藤印刷へ入社。